パンプスとスニーカー

 もしかしたら、ここは惚気る場面なのかもしれなかったが、偽装のカノジョを絶賛されてどんな顔をすればいいのか、さすがの武尊も正直わからなかった。


 コース料理も順調に前菜からサラダ、スープ、パンへと進み、今回は食欲があまり旺盛ではない女性陣が中心ということでメインは一種類のみにし、チーズにフルーツ、デザート、コーヒーへと。


 ホクホクとラストのプチフール(締めくくりの洋菓子)を口に頬張って、ニコニコと笑うひまりは、世の女性の類に洩れず、甘いものが好きらしい。




 「武藤さん、良かったら俺のも食べなよ」

 「えっ!?」




 武尊を見上げた顔が、すでに期待で輝いている。




 「い、いいの?北条君って、もしかして甘いもの苦手?」

 「いや、別にそうじゃないけど」

 「だよね?デザートは普通に食べてたものね」

 「あえて自分で注文するほど好きってほどじゃないけど、食べないわけじゃないよ」

 「じゃあ、いいよ」




 言いつつも、思いっきり視線が未練がましい。


 たかが食べ物でそんな顔をするひまりがおかしくて、つい笑ってしまう。


 …マジ、ガキみたいだよな。