パンプスとスニーカー

 ひまりの足元に腰を落とした武尊が、手に持っていた靴を並べてくれる。


 アンクルストラップのその丸みを帯びたパンプスは、ドレスと同色のローズ色でこれまたひまりがついウットリしてしまうほど上品で可愛らしい。




 「可愛い」

 「まさか、パンプスまで初めて履くとか言わないよね?」

 「はは、それはまあ、さすがにね」




 大学の入学式やら親戚の冠婚葬祭では大活躍だった。


 ただし色は黒一色、シンプルそのもの。


 ひまりが試着室のサンダルを脱ぎ捨て、パンプスに足を入れると、彼女が屈む間もなく武尊手ずからストラップを止めてくれた。


 …いっひぃ~。


 かなりな気恥しさに、内心自分でもよくわからない奇声を上げる。




 「さ、立ってみて?」

 「う、うん」




 恥じらいつつも、差し出された武尊の手に手を乗せ立ち上がる。




 「どう?足痛くない?」

 「うん、大丈夫だと思う」



 
 とりあえず、武尊の手を離してその場で何歩か歩いてみる。




 「平気そうだね」




 武尊が満足げに一つ頷き、近くで控えていた店員へと片手を上げて合図すると、すかさず近くに控えていた店員が歩み寄ってくる。


 財布からカードを抜き出して、




 「じゃあ、これ一式このまま着ていくんで、彼女が着ていたものと靴の方を包装してください。支払いは、一括で」

 「かしこまりました」




 武尊の手から店員の手へと受け渡されたカードを横目に、ひまりの眉根がつい寄ってしまう。


 とりあえずは人目を気にしてすぐに武尊に詰め寄ることは控えたものの、店員が席を外した隙に、いまさらながらに抗議する。




 「ねぇ、困るよ」