パンプスとスニーカー

 「ああ、そう?」




 あっさりだ。


 女にだらしなくてニヤけた男だと思えば、ひまり相手に大真面目に『友達になろう』と言い出したり、日頃優しげに笑ってはいてもどこか冷たい顔をしているくせに、一度腹を割ることを決めてしまえば、ざっくばらんだったり、よくわからない男だと思う。

 …そういえば、あたしもそうだけど、さっきのウェイトレスさんも、いつも北条君が連れてる人たちとはタイプが違うか。


 可愛い子ではあったけれど、そういう意味では武尊の好みのタイプではなく、まったく興味がないのだろう。




 「なんか、今、北条君のことがちょっとわかった気がする?」

 
 「なに?」




 面白そうだと思っているのがよくわかる顔。


 なんだか、ひまりも楽しくなってきてしまった。




 「北条君って、凄く内側の人と外側の人をキッチリと分けるタイプなんだね」




 柔和な見かけと、一見良さそうな愛想に気がつかなかった。




 「見た目洋犬、中身和犬ってことでしょ?」

 「……意味わかんないだけど」




 さすがの武尊も面食らった顔をする。


 まさか犬に例えられるとは、思わなかったようだ。




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