パンプスとスニーカー

 「そんなこと思わないよ。あたしだって、親からの援助を受けられるなら、受けられるに越したことはないと思う。北条君は成績もいいし、ちゃんと授業にも出席してるから、真面目に学生生活を頑張ってるんだってあたしも知ってるよ」

 「まあ、それはね」




 そこのところは、武尊もひまりとはまた別の切実な事情があったが、正直彼女のように夢のためにとかではなく、仕方なくだっただけに大手を振って頷きにくい。




 「だから、頼むよ。今日だけでいいから協力してくれない?」

 「…でも」




 武尊の話からすれば、彼の家族を騙すということではないだろうか。


 法学部に在籍し、将来困っている人たちを助ける立場の弁護士になりたいと志しているひまり的には承諾し難い。




 「これも人助けじゃないかな?」