パンプスとスニーカー

 「今は、いない……かな」

 「そっかぁ」




 まあ、そうかもしれない。


 だからこそ、自分のカノジョに頼まないで、赤の他人の自分に頼んできてるのだろう。


 …これから友達になるらしいけど?




 「じゃあ、好きな子は?」




 答えは聞く前にわかった気がするが。




 「いないな。つーか、いいな、って思ったらさっさと声をかけてるし」

 「すごいね」




 さすがはスケコマシ。


 好き=行動らしい。


 普通は好きな相手がいても、中々行動に出れないものだが、それだけ武尊は自分に自信があるということなのだろう。


 断られることはないという自信。


 鼻につきそうなものだが、こうも当たり前だというように肯定されると妙に納得してしまう。




 「凄いっていうか、始めから断られそうな女には声をかけないから、ほとんど100中100発?」

 「それ、好きな人とはなんか違くない?」

 「いいなって思ってるんだから、合ってんじゃないの?」
 
 「うーん」




 微妙に認識に相違があるのは気のせいだろうか。




 「それに女に魅力を感じるのと信用は別だから、下手な女にこんなプライベートなこと頼んで、吹聴されたり脅迫されたら困るじゃん?」

 「………」




 なおさら好きな相手に対してするような心配じゃない気がするが、まあ、そこは口出しするべきところではないだろう。




 「で、そこがさっき聞かれた質問の答えなんだけど」

 「う、うん?」

 「武藤さんなら、そういうとこ信用できそうだな、って思ってさ」