パンプスとスニーカー

 「あ、ごめん。そうだったね」




 武尊に提示された予定では、どういう意図があるのか知らないが、これから買い物と『野暮用』とやらにひまりを付き合せ、その後、彼の家族と会食の予定があるというのだ。


 まだ夕方には少し早い時間だが、こんなところでグズグズしていては、どれだけ時間があっても足りないだろう。


 しかも、まだひまりは武尊の申し出を承知したわけではない。




 「で、武藤さんとは友達になりたいのはマジの話だけど、最初にした申し出の話も受けて欲しいわけ」

 「はあ」

 「だから、事情は話すよ。こまごま話すのはまあ、面倒だし時間もないからある程度は端折って話すけど、不審なことや納得がいかなければ質問してもらってもかまわない」

 「うん」

 「友達になってくれて、申し出を受けてくれるのがベスト。友達にはなるけど、申し出はダメって言われたら、まあ、俺的にはちょっと困るけどそれはそれでしょうがない。貴重な友人を得られたってことで満足することにするよ」

 「………」




 小学生でもあるまいに、いきなり『友達になろう』と言われるのもうろんな話だが、他の人間とは初対面で友達になっておいて、一応はクラスメートだった相手と友達になれない理由も見つからない。


 …どうしよう。