パンプスとスニーカー

 友達になるには信頼が必要。


 信頼には真実を話す必要がある。


 そんなまっとうな言葉が、目の前のいかにも不誠実そうなこの男の口から出るとは思わなくて、思わずひまりは驚いてしまった。




 「なに?」




 ポカンと自分を見る彼女に武尊も首を捻って、逆に問い返されてしまった。




 「いや、北条君って意外に意外な人なんだね」

 「そうかなぁ?まあ、俺って友達、少ないし、その中でも腹を割って話せる相手って、壮太くらいなものだから、意外とか意外じゃないって評価自体されることもなかったかな」




 あっけらかんと友人が少ないことを口にできること自体意外だ。


 見たからにカッコつけの激しい武尊は、それだけにプライドも高そうだったから。




 「女友達はたくさんいるでしょ?」

 「女友達?」




 不審げな顔に、よけいな詮索だったかと訂正しかけて、武尊の方があっさりと先に答えてしまった。




 「女の友達はなおさらいないな」

 「え?」




 あれやこれや、異性としての武尊に興味がなかったひまりでさえ、片手の指で足りないほどの彼の『女友達』が思い浮かぶのに、と眉を潜める。




 「あれ?女友達ってまんまの意味じゃなくって、付き合ってたカノジョとかそういう女のことか、もしかして?」