「…なんで俺がドンファンなんだよ。それはお前だろ」

 「なにがドンファンよ。たんに下半身がダラシないってだけのくせに、なに小洒落た言い方して気取ってんのよ」

 「……………」

 「……………」




 美紀の鋭いツッコミに、思わず男たちが黙り込む。


 そんな二人に気がつき、美紀がニッコリ。




 「あら、ごめんなさいね。つい正直にストレートに言いすぎちゃって、話の腰を折っちゃったわ」




 一応は謝ってはいるが、微妙な言い回しに男二人は顔を見合わせ、それでも苦笑してサラリと皮肉は聞き流した。




 「ま、言い方はともかくとしてさ。ひまりちゃんと、順調なんだろ、武尊?」

 「………ハァ」




 あたりまえだと歯牙にもかけないのかと思えば、片肘をついた頬杖に顎を乗せた武尊が小さくため息をつく。




 「なんだよ?なんか問題でもあんの?」

 「…ちょっとぉ」




 武尊の煮え切らない表情に、派手な見かけとは裏腹な姐御肌の美紀の目に険が浮かぶ。




 「北条君、たいがいにしてよね。まさか、あの子相手に適当しようって言うんじゃないわよね?」




 美紀の顔つきには冗談の欠片もなく真剣だったが、武尊は特に気負うことなく、あっさりとその懸念を否定する。




 「ないよ。…さすがの俺だって、ひまみたいな子を相手に遊ぶほど鬼畜生じゃないから。ていうか、松田といい、勝手に人のことイメージで決めつけられても、なにげに失礼なんですけど?」

 「え~」

 「ええ?」

 「……おい?村尾さんはともかく、壮太、なんでお前がそこで驚く?」




 なぜか親友にまであからさまに疑われ、武尊がムッと顔を顰める。




 「だってなぁ?」 

 「そうよねぇ」

 「日頃の行いっつーもんがあるんだからさ。いくらなんでも空々しいっつーか、いけしゃあしゃあて言うか、厚かましすぎるんじゃねぇの?お前」

 「……………」




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