パンプスとスニーカー

 「あ…うん、ありがと」




 ほんのりと胸に灯る温もり。


 武尊の見た目がカッコイイとか、スマートだとか、そんなことよりもずっと彼を魅力的だと思える美点。


 そしておそらく、他の女たちが彼に惹かれるのもそうしたところなのだろうと思う。




 「…お土産とか買えるかな」

 「え?」




 口に出したつもりはなかったけれど、武尊に問い返されて、それで口に出してしまっていたんだと気がついた。




 「お土産?」

 「あ~」




 別に隠すほどのことじゃない。




 「えっと、…その、武尊と一緒にここに来た記念っていうか」




 初デートの思い出に…なんて、口にしてみて後悔する。


 いくら男慣れしていないからといって、大学生にもなって自分の言ったセリフがいかにも重かった。



 
 「……………」

 「あ、いやっ、え~、その、ね」

 「けやき坂に、いろいろあるからたぶんご要望に添えるかな。行きつけってほどじゃないけど、たしか雑貨とかコスメを扱ってる店でいいところがあったから、後で案内するよ」




 黙ってしまったのは、どうやら記憶を探っていただけらしく、ひまりが心配したように特に重いとか子供っぽいと思ったわけではないらしい。


 クスリと笑って―――、




 「お揃いのスケジュール帳とか、携帯カバーでも買う?」

 「ええ?」




 さすがにそこまで望んでいたわけではなかったので、意外な人物からの提案に、キョトンと見返してしまう。


 ひまりの表情で察したらしく、言い訳する前にあっさりと前言を翻えされてしまった。



 「なんだ、残念、違ったか」

 「…いや、あのね…えっと、武尊ってお揃いのグッズとか持ちたい人?」

 「ううん、全然」