パンプスとスニーカー

 「え?」

 「あ、なんとなくなんだけど」




 特に顔に出ていたとか、態度に出ていたとかいうわけではなかったから、尋ねることで逆に気を悪くするのではないかと、わずかに気に病んでしまう。


 そうでなくても、武尊のようにプライドが高い人間は、自分の心中を人に悟られたくないことが少なくない。


 マジマジと見られてしまい、その居心地の悪さについ訂正しようかとひまりが口を開きかけたところで、武尊が小さく吐息をついた。




 「…まいったな」

 「えっと…その、ごめんね?」

 「なんで、ひまが謝るの?」

 「そのぉ、なんとなく?」




 穿ちすぎであればそれはそれで嫌な気持ちになったかもしれないし、もし本当に不機嫌だったのならおそらく直前に武尊が会っていた松田のせいで、その松田のことさえもしかしたらひまりのせいなのかもしれなかった。


 …自惚れてるかな。


 そうも思うけれど。




 「不機嫌…っていうか、ちょっと落ち込んでただけ」




 意外な返答に、今度はひまりの方がキョトンと武尊の秀麗な顔を見返す。