パンプスとスニーカー

 「な、なんでもありましぇんっ」




 噛んだ。




 「……………」

 「……………」




 冷や汗ダラダラ。


 武尊の方は目をパチパチ、キョトンとしていたが、ガチガチなひまりの様子にふっと苦笑する。




 「…変なひま」

 「そ、そう…か、な」




 とはいえ、自分でも挙動不審な自覚はある。


 しかし、どこか硬質な雰囲気を纏っていた武尊が小さく笑ってくれたことで、ひまりの妙な緊張感も和らいだ。


 …あれ?


 それで、武尊の様子がいつもとはどこか違っていたことに気が付く。


 …もしかして、武尊、機嫌が悪かった?




 「肩抱くの…イヤかな?」

 「や…そういうわけじゃないんだけど」

 「だけど?」

 「ここ…大学だし、その…」




 ようはカップルだからと言って、人目も憚らずイチャついたり、悪目立ちして人に眉根を顰めさせるような言動は控えたいということを伝えたいのだが、どうもご機嫌がよろしくなさそうな武尊の気分を害させないような、上手い言い回しが思いつかずに口ごもる。