パンプスとスニーカー

 「ん~」




 美紀も武尊とは直接、友達というわけではないが、武尊の親友の壮太とは幼馴染みで、その縁もあって武尊のことは高校生の頃から知っている。




 「あたしもそんなに詳しいわけじゃないけど、一人二人ってことはないんじゃないかな」 

 「…そうだよね」




 それはひまりもそうだろうな、と思っている。


 武尊の口ぶりもそうだし、しょっちゅう違う女を腕にぶら下げているような男が、その誰とも付き合っていなかったなんてことはないだろう。




 「でも、壮太の話によると、噂ほどじゃないみたいだけどね」

 「そう…なんだ?」

 「壮太もアレだから、あいつの話もアテにはできないけど、一応同時並行で何人も…っていうのはなかったみたいだし」

 「…………」




 微妙な表現だ。




 「ただ長続きしないみたい」

 「……そう」




 わずかに意気消沈して見えるひまりの様子に、美紀が焦る。




 「えっとさ、でも、今までのタイプがタイプだったっていうか、相手の方もロクな女じゃなかったみたいだし、むしろ、ほら、武藤ッチみたいな真摯な子を選んだってことは、開眼したってことなんじゃないかなっ?」

 「なに、それ」




 美紀の懸命さがおかしいと、思わず小さく笑ってしまう。


 …むらちゃん、いい人だな。


 本当にそう思う。


 人は見かけによらないの典型で、基本人嫌いしないひまりにしても、やはり相手によっては構えてしまうことがないわけではない。


 最初の頃、この派手な見かけで押しの強い美紀に対して偏見がなかったとは言えなかった。


 それでも付き合ってゆくうちに、見かけだけではない本質に触れられることもある。


 …武尊みたいに。




 「本当はさ、あたし的にはマツの方がいいと思ってるんだよね」