パンプスとスニーカー

 「マジかよ、俺」




 自分を好きだと言った男が、いきなり顔を覆ってしゃがみこんでしまった。




 「…えっとぉ」




 カッコつけの激しい武尊が、猿回しの小猿よろしく頭を抱えてしまっている。




 「俺…すげぇ、カッコわりぃ」

 「……は?」

 「なんだよ、このシチュエーション。こんなスーパーの駐車場の真ん中で告白とかありえないだろ」



 
 ボソボソ呟いているが、どうやら本人的には完全に独り言のようだ。


 ひまりはひまりで、まだ武尊の口から出た言葉を消化しきれていない。


 …えっと、今って、武尊、あたしのこと、好きだって…言った?


 それこそ、ありえない。


 それでもいくぶんか自分の感情と折り合いをつけたのか、何度かうんうんと頭を振っていた武尊が、勢いよく立ち上がる。


 その勢いに思わずビクついて、一歩、二歩、つい後退ってしまったが、まさか走って逃げるわけにもいかないだろう。


 いや、そもそも逃げる意味が自分でもわからない。




 「俺、本気だから」