パンプスとスニーカー

 どう見ても、周囲の目を意識してニヤニヤ笑って楽しんでいる壮太の人の悪い顔に引き攣った。


 …なにがBLだよ。




 「…さっさとデートでも、ランデブーでも好きなとこ行け」




 肩を竦め、指先にキスを落として投げてくる壮太の悪ふざけに、周囲で二人のやり取りを興味津々に見ていた一部の女性陣がきゃあっと盛り上がった。


 …アホか。


 しかし、実際、壮太の言うとおり恵梨香がひまりに接触したというのなら、武尊の身から出た錆に違いない。


 壮太から話を聞いてすぐにひまりのもとへ出向いたのだが、今日はあいにく受講する講義の時間帯がズレていて、見事に夕刻までのすれ違い。


 やっと捕まえることができたのは、ひまりのバイトの帰り…車で家庭教師先に迎えに行った時で、バイト先の家から出たひまりの様子は何でもないように見えた。


 そうなると、いまさら何をどう切り出していいものか。


 これが本当に恋人同士なら、言い訳をするのも容易だったが、今の微妙な関係ではさすがの武尊も、唐突に恵梨香のことを口にすることができず、けっきょく何食わぬ顔をするしかなかった。


 しかし…、


 …やっぱ、高崎さん、ひまになんか言ったんだろうな。


 それも単なる雑談や、元クラスメートとしてのあたりさわりのない世間話などではなく(元々キャラでもないが)、間違いなく武尊との関係を誇示してひまりを牽制したのではないかというフシがありありだった。


 とにかく…視線が痛い。


 いや、もしかしたら単純に自分の中の疚しさがそう感じさせているだけで、ひまりにしたらそれほどどうだというつもりはなかったのかもしれない。


 だが途中、買い物をしようということになって、あれだこれだと細々としたものを選びながら、物言いたげにジッと見られる気詰まりについ切り出してしまった。


 …ままよ。




 「ね?なんか、ひま、ご機嫌悪い?」