パンプスとスニーカー

 最初のアプローチで、いきなり断られた時のことを思い出してクスッと笑う。




 「どうでもいいけどさ。愛しの彼女との思い出のアルバムに浸るのもいいが、そういうの一人の時にしろよ?」

 「………」

 「俺、男のニマニマ思い出し笑いって不気味すぎて、生理的に受け付けねぇわ」

 「ほっとけ。それより、ひまと高崎さんっ!」




 仕切り直しとばかりに、バンッとテーブルを叩いて気恥ずかしさを誤魔化すが、壮太の方はさっさと夜の予定を確保したらしく、さっと椅子の上に放置してあったバッグを肩にかけ、立ち上がってしまう。




 「おいっ」

 「知るか、人の女のことなんか。俺はこれからデート。身から出た錆だろ?自分の不始末くらい自分でつけろって。聞いたところによると恵梨香ちゃんてば、例のラグビー部のムキムキマッチョマンと別れて、今フリーになったらしいから、お手軽な武尊くんでもキープしておこうって腹なんじゃないの?」

 「はあ?冗談だろ?」




 たしかに恵梨香は見た目的には、武尊のこれまでの好みの女のタイプのジャストミートだが、さすがに『クィーン・ビッチ』とか影で言われているだけあって、あの奔放さは観賞用だと距離を置いて付き合ってきた。


 …寝たことだってねぇぜ。




 「一族からは零れちゃったとはいえ、お前も一応大病院の御曹司ってやつだし?将来は安泰。いずれ弁護士あるいは検事かっていうエリートの端くれだしな」

 「一々、トゲがあんだよ、お前の言い方は」

 「そうか?俺、武尊くんのことは、かなり愛しちゃってるけど?」