パンプスとスニーカー

 「…………」




 武尊の顔は、ひまりが思っていた以上に大真面目で、その真剣な顔がどうしてか真っ直ぐに見られない。




 「ひま?」

 「…言いたいことなんて」




 あるはずがない。


 たとえ今感じている不快感が、今目の前にいる武尊のせいなのだとしても、それを彼に言える立場にはいないのだ。


 …そうだよ。


 今、自分が感じている気持ちが何かなんて、いくら恋愛経験のないひまりだって気がつかないはずがない。


 嫉妬…。


 …あたし、ヤキモチ妬いてる。


 いつの間にか恋人同士のフリをしているうちに、錯覚してしまったのだろうか、ひまりが今、感じているのはたしかな嫉妬だった。


 …武尊、あの人と付き合うのかな。