パンプスとスニーカー

 ツンと顎を上げて必要以上に綺麗に微笑んだ女の顔に、勝ち誇る驕慢を感じて、ひまりはあえて無邪気さを装って笑い返した。




 「いいも、悪いもないです。あたしと武尊は単なる‘お友達’ですから。彼があなたと付き合いたと思えば付き合うだろうし、そうじゃないならただそれだけのことでしょう?」




 鼻白んだ顔が意外そうで、もしかして威圧すれば俯いて涙ぐむとでも思われていたのだろうか。




 「武尊が好きなら、武尊に言って?あたしを牽制するくらいなら、直接、武尊にぶつかりなさいよ」



*****



 「ね?なんか、ひま、ご機嫌悪い?」




 ひまりの横であれこれ商品を見ている武尊を、ついジッと見上げてしまっていて、その視線を感じた武尊が彼女を見返すということが何度か続いてしまっての会話だ。




 「………そうじゃないけど」

 「でもさ、今日、口数も異様に少ないよね?」




 異様と言われるほどの自覚はなかったが、指摘されれば自分でも思い当たる。


 …やだ、あたしったら。


 武尊と昼間出くわした高崎とのことは、自分には関係ないと言い放っておきながら、なんだかんだと胸の奥で、もやもやと屈託したものを抱え続けている。


 …あたしには関係ない。


 同時に、それは武尊にどうこう言う権利も資格も自分にはないということでもある。


 つい唇を噛み締めてしまって、そんな彼女を見ていた武尊が小さく息を吐いて、手に持っていた雑貨を元の棚に戻す。




 「…少し、話そうか?」