パンプスとスニーカー

 気まずい…というほどではなかったけれど、タクシーを見送ってまだ頭を下げているひまりのつむじをなんとはなしに見下ろす。


 それで顔を上げたひまりとバチッと視線が合って、ぎょっとしたように仰け反る彼女の珍妙な様子に思わず笑ってしまった。




 「な、なに?」

 「いや、びっくりしてるな、って思ってさ」

 「そ、そりゃ、びっくりするよ。顔をあげたらジッと見てるんだもん。ど、どうしたの?」

 「今日…悪かったな」

 「悪かった?」

 「いや。こんなところで立ち話もなんだじ、寒いから中入ろうぜ?」




 とりあえず、とひまりを促し、部屋へと戻る。


 いつまでも寒空で立ち話とか、冗談じゃない。


 それに、昨日、その前からか、こうして身近に話すようになってからずっと着たきりすずめのひまりのブルゾン姿がいかにも寒そうに見えたのだ。


 …真冬より、この時期の方がなおさら寒いもんな。


 とはいえ、




 「着替え、持ってたんだ?」