パンプスとスニーカー

 当然、武尊の祖母もひまりもそんなやりとりに気がついてクスクスと笑った。


 …武藤さんって、けっこう笑う子なんだな。




 「同じように遊びに出たひまりさんが、ちゃんと早起きしてたというのに、本当にあなたたちは」

 「ひ、ひまりちゃん、何時に起きてたの?」




 苦し紛れに、一佳が話題の転換を図る。




 「あ…、6時頃だったでしょうか。えっと、いつも起きる時間なので、目が覚めちゃって」

 「え?そんなに早かったんだ?」

 「うち、学校から遠いから」




 困ったように答えるひまりに、ふと武尊が思い当たった。




 「あ、ごめん。もしかしなくても、今日も一限から授業あったよね?」

 「まあ」




 ひまりは一週間のほとんど一日ギチギチに授業をとっていて、そういう人間もたしかに大学内には少なくはなかったけれど、実際に授業にちゃんと参加しているという生徒となるとごく少数―――そして彼女は、その少数のうちの一人だった。


 …あっちゃ。




 「えらいわねぇ、ひまりちゃん、ちゃんと授業出てるんだ?」

 「特待生なので成績を落とせないし、やはり自習よりも先生の講義を受けた方が学べるところが大きいので」




 本人は照れつつも、特に悦にいった感じでもなく、それがよけいに祖母たちの感心を引き出している。


 …いいんだけど。


 ただ、お鉢がこちらに回ってこなければいいが、と密かに願って先手必勝。