パンプスとスニーカー

 「ひまりちゃん、いいと思うわ」

 「は?」

 「あんたなんだかんだ言って、お姉ちゃんっ子だしね」

 「…何言ってんだか、わかんねぇよ」




 武尊の嘘を糾弾するでもなく、意味深な言葉を言う姉の顔の真意を探る。


 おそらく何も言わないということは、たぶん見合いの件に関して、姉は味方してくれるつもりなのだろうとは思う。


 だが、まさか本気でひまりと武尊をくっつけようとか、そんな無茶ぶりを考えているのか。


 …いや、元々俺のカノジョってことで紹介してんだよな。




 「さて、そろそろ起きようか。って、ギャッ!なによ、もうお昼じゃないっ。いったい、いつまで寝てるのよ、あんたはっ!!」

 「…って、自分もだろ」




 さすがは、『お姉さま』。


 慌ててベッドから飛び降りて、今度はクローゼットのドア鏡を覗いて悲鳴をあげた。




 「ちょっと!あんた、なんでお化粧落としてくれなかったのよっ。最悪!!」

 「…………」




 たしかに一佳や二番目の姉は武尊を可愛がってくれはしたが、同時に理不尽な存在でもあった。


 …弟なんて、奴隷みたいなもんだろうな、きっと。