パンプスとスニーカー

 すぐには昨日、今日の記憶が蘇らずに、ため息をつく。


 飲んでそのまま意気投合した女をホテルに持ち帰ったことは何度となくあるが、自宅は初めてだ。


 うんざりしつつ体を起こし…が、中途半端に蘇った記憶に、ギョッと横を確認する。




 「ハァ―――ッ。なんだよぉ、一姉かよ」




 広いダブルベッドに背中を向けて横たわっているのは、キャミソールとショーツ一丁の見慣れた姉の背中。


 これが姉でなければ中々に色っぽい姿と言えたかもしれないが、実の姉の半裸ではまったく萌える要素の一つもない。


 …つーか。




 「めっちゃ、酒臭ぇ」




 しかし…。


 …ビビッたぜ。


 酒の勢いに任せて、うっかりひまりをベッドに連れ込んだのかと一瞬自分を疑ってしまった。


 …いやいやいや、いくらなんでもそれはないだろ。


 自分に突っ込む。


 だが、人間何が起こるかわからない。


 しかも年頃の男女。


 強引にというのはないにしても、少なくても合意の上だったら、武尊も絶対にありえないというほどには枯れてはいなかった。