パンプスとスニーカー

 「あ…いやぁ」




 さすがにひまりも、武尊に悪いと思ったのか、




 「えっとね、そういう心配をしてるってことじゃないの。その…あたしはタケちゃんの好みってわけじゃないのは、あたしも知ってるし」

 「好みって…」




 男は、好みに関わらずヤるだけなら、大抵の女とヤることができるということを彼女は知らないのだろうか。


 …知らないっていうか、わかってないんだろうな。


 武尊にしても、ひまりとヤれるかヤれないか、と肉体関係のことだけを言われれば全然普通に許容範囲だ。


 それどころか、今の彼女を魅力的だと思わない男はそうそういないだろう。


 ただ武尊は自分に気のない女を無理やりどうこうする趣向はなかったし、あえて面倒になるとわかっていて好みでもない女に手を出すほど飢えていないだけのことで。




 「まあ、俺の好みうんぬんはともかくとして、武藤さんとは友達になりたいって言ったろ?俺にとって友達はガールフレンドより貴重だから、武藤さんに軽蔑されるようなマネをしたくない」

 「…タケちゃん」

 「それに、予定外の展開になっても付き合ってくれたことに感謝しているよ。ありがとう」

 「ううん」


 …やべぇ。


 飢えてないはずなのに、…そうさっき自分が否定したばかりだというのに、頬を染めて嬉しそうに笑うひまりの顔に軽い危機感を覚える。


 …そういえば、ここのところゴタゴタしてばっかで、俺、女と寝てねぇな。いくらなんでもねぇだろう。


 頭をひとふり、にわかに沸き起こりかけた衝動を振り払う。




 「とりあえず、今夜は泊まっていってよ?上階の客間は丸空きだから、そこ使って?案内するよ」

 「うん、ありがと」




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