パンプスとスニーカー

 だが、武尊が戻ってきたのに気がつくと、慌ててソファに座ろうとするのに小さく笑って、持ってきたタオルケットを差し出す。




 「かけてやってくれる?」

 「うん」




 自分は救急箱をコーヒーテーブルに置くと、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを二つ手に戻る。




 「夜中だし、酔ってるから水でいいよね」

 「あ、うん、ありがと」

 「足」

 「救急箱を貸してくれたら、後で自分でやるから…って、そうだ!」




 ひまりの足元へとしゃがみこもうとした武尊を制して、断りをいれた。


 しかし、なにを思ったのか、いきなりピョコンと立ち上がる。




 「あ、あたし、ついうっかりこんな時間にあがりこんじゃったけど帰らないと!」

 「………どこへ?」




 言われて、言葉を詰まらせた。




 「え…と」

 「沢さんには断っちゃったよね?」




 一佳と祖母、武尊の三人がかりに説得されて。




 「マ、マンガ喫茶にでも…」

 「何言ってんだよ、危ないだろ?」




 ひまりなりにも自覚があったのだろう。


 困ったように俯いてしまった。




 「泊める約束で沢さんには断らせたんだから、泊まってってよ」

 「…でもぉ」




 躊躇している。




 「俺が襲うとか思ってるなら、心配しなくていいよ。姉貴も言ってたけど、全部屋には鍵もついてるし、まさか自分の身内がいるところでなんかするほど、俺もケダモノってわけじゃない」