パンプスとスニーカー

 「はは、いえいえ、義妹だなんてとんでもない。あたしはタケちゃんとはただの…」




  …ゲッ。




 「お!12F到着。降りるぞ」

 「あ、はい」

 「あいあいお~」




 …やっぱ、やべぇな。シラフみたいな顔して、実はけっこう酔ってるってヤツ?


 一佳の方が泥酔しているから心配はないかもしれないが、今にもひまりの口からもボロボロと、ヤバい言葉が出てきそうで、さっきから武尊はかなりヒヤヒヤ、わずかな酩酊も今やほとんど醒め始めていた。


 一佳にここだ、あそこだと連れ回され、店を何軒もハシゴして、気が付けば深夜の1時すぎ午前様だ。


 さすがにこの時間から姉を何時間もかかる実家までタクシーで帰らせるのも難で、ひまり共々武尊の住むマンションに連れてくるハメになってしまっていた。


 一佳がいては、ひまりを途中で放り出すわけにもいかない。


 どのみち、姉はそのつもりだったのだろう。


 祖母との会話は完全に確信犯で、当然、祖母や姉と別れた後、ひまりと現地解散するという目論見はモロくも潰えた。


 そもそもこの姉によって、少なくても今晩は武尊の部屋に泊めることへと強引に押し進められてられてしまっていたのだ。


 いまさら姉の目を掠めることなどできるはずもないし、ひまりにしても行くあてがないだろう。


 …しょうがねぇなぁ。