パンプスとスニーカー

 「女はねぇっ!愛嬌じゃないのよ、度胸よ、度胸ッ。それを、こいつみたいな中途半端なヤツは勘違いして、ちょ~っと甘い顔されるとコロッと騙されて」

 「……いてぇな、この酔っ払い」




 姉の女とも思えないバカ力だでバシバシ背中を叩かれ、タクシーの背もたれに懐いた武尊が小さく呻き声を上げる。




 「あ?なんか言ったぁ?」

 「いや、別に」




 完全に大トラになって凄む一佳に、にっこり王子様スマイル。


 当然、どんなに完璧な笑顔を作ろうと、その顔とそっくりな顔をした相手にはなんの効果もあるはずもなく。




 「はぁ、昔は、お姉ちゃん、お姉ちゃんって、可愛いかったのに…。男の子って、どうしてこうもデカくなると可愛くないの?どう思う?ひまりちゃん」

 「はは」




 クダを巻かれているもう一人の方…ひまりの方は案外と酒に強かったらしく、あえてセーブしていた武尊はともかく、日頃の憂さ晴らしとばかりに鯨飲馬食をしていた一佳並には飲んでいたはずなのに、ケロッとしている。




 「でも、タケちゃんは可愛い方だと思いますよ」