パンプスとスニーカー

 …またって、明日かいっ!?


 驚愕している孫息子やひまりを放置して、祖母はさっさと次へと進めてしまっている。




 「いろいろ男手だけでは、ひまりさんも戸惑うことがあるでしょう?」


 「え?あ…そのぉ」


 「えっと、その…さ」




 思わずひまりと二人顔を見合わせ、再び祖母へと視線を戻し、なんと言って祖母を翻意させるべきか、武尊が軽く悩んで言葉を選ぶ。




 「悪いんですけど、明日は…」




 口を開いたとたん、到着していたタクシーが短くクラクションを鳴らして、武尊の断り文句を邪魔だてした。




 「ほらほら、早くしないと催促されてるわよ」

 「待たせておけよ」

 「何言ってるのよ、呑気で暇な学生のあんたと違って、ひまりちゃんや私の夜は短いんですからね。こんなところでグズグズしてないで、さっさと夜の街へ繰り出しましょう」

 「不良医者め」




 武尊のボヤキを完全無視し、一佳がまずは祖母をタクシーへと乗せた。




 「では、皆あまりハメを外しすぎないように」

 「はぁ~い」

 「……はい」

 「はい」




 子供よろしく上機嫌で元気よく返事する一佳の後ろで、武尊とひまりがそれぞれに小さくため息をつく。


 祖母の乗ったタクシーを見送り、




 「よぉしっ、武尊!ひまりちゃん!!今夜はオールナイトよぉ!!」




 一佳が振り返って、握り拳を夜空へと高く振り上げた。




 「頼むから…それだけは勘弁して」




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