パンプスとスニーカー

 「…荷物」




 ひまりへと視線を向けると、チラチラと武尊の祖母や姉を伺いつつ、小さく首を横に振っている。


 どうやら荷物うんぬんを理由に、同居を断ろうとしてあっさりといなされただけらしい。


 …無理だよな。言いだしたら聞かないし、この二人。


 下手に強固に拒絶しても、十分に痛い腹をさらに探られ、泣きっ面に蜂ということになりそうだ。


 …こうなったら、武藤さんには悪いけど。


 迷惑のかけついでだと、やはりこの祖母にして孫あり、あるいはこの姉にして弟ありの論理であっさりと思い切る。




 「そう…だね。ここで押し問答していても仕方ないし、言われてみればおばあさまや一姉の言うことももっともだ。恋人の窮状を黙って見てるのも、薄情な話だよね」

 「ええっ」




 ひまりが今度こそ目を剥く。




 「ちょっ!北条君っ」




 …困るよっ!


 目が口ほどに物を言っている。




 「て、ことで、ひまりちゃん、お友達に電話して?」

 「そうね、そうした方がご迷惑をおかけせずに済むわね」

 「電話したほうがいいよ」

 「…うう」




 満足げな顔の武尊の姉と祖母と、流されてしまった相方。

 
 とりあえず女二人の隙をついて、武尊が呻いているひまりに耳打ちする。