パンプスとスニーカー

 …ありえないだろ。


 それが正直なところで、おそらくそれは武尊だけでなく、ひまりも内心では大いに思っていたことだろう。


 が、姉は強引だった。


 いや、この姉に限らず、昔から、北条家の女は皆こんな感じだ。


 一見物柔らかな祖母でさえそうなのだから、むしろ祖母こそが元祖なのかもしれない。


 とにかく押せ押せ、論理も何もかもすべて吹っ飛ばして、独自の論理を展開し男たちの抗議も反対もすべて捩じ伏せてしまうのだ。


 しかも、恐ろしいことにこの無茶苦茶な提案を、姉だけではなく、祖母までもが支持したのだから、武尊ではなくても普通に困惑したことだろう。


 …いや、これが本当の恋人同士だったら、特に問題はないのか。


 自業自得。


 どうやら自分のついた嘘に、早くも自分の首を締められるハメに陥ってしまっているようだ。




 「…あの、でもぉ」




 当然、もう一人の片割れが納得できるはずもない。


 今や武尊の唯一の頼みの綱だ。




 「さすがに、同棲とか、そういうのはちょっと…」 


 「そ、そうだよな!俺たち、まだ付き合い始めだし、清く正しく!ゆっくりと、あ、愛を育んでる最中なんだよ」