―吹奏楽コンクール 結果発表


それは一瞬の出来事だった。



上がっていた心拍数が急に落ち、全身が冷えていく。
座席に触れている部分だけが妙に蒸し暑くて、気持ち悪さを覚えた。

周りから聞こえるのはすすり泣く声、結果を伝える司会の声、歓声、拍手の音。それだけのはずなのに。

私の頭の中には「銀賞」という言葉が何度も、何度も響く。


突然拍手が大きくなったのに気づいて顔を上げると、いつの間にか結果発表は終わっていたらしい。



ああ、本当に、おわっちゃったんだな。


その時初めて、涙がこぼれた。