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(…杏里…杏里…杏里…)

どこかで私を呼ぶ声が聞こえる。
真利ちゃん…?



違う。
もっと真利ちゃんより低い声。


(杏里…杏里…杏里…)



近づいてくるように耳に通りやすくなっている声。

鮮明に声を元に記憶の糸がほどけだす。





この声は…命くん。
私を呼ぶ…命くん。



視界が明るくなってきた。
無意識に目覚めるのが分かっていたのかもしれない。


自分の名前を呼ぶ声にそっと近づいた。