結局、今日は皐月くんを困らせて終わっただけだった。
皐月くん、ごめんなさい……。


ひとりの帰り道、私は心の中でソッと謝る。
ちゃんと謝んなきゃなぁ……。






下にどんどん俯いていく私の視界にはヒラリ、1枚舞い降りたイチョウの葉っぱだった。

   


葉っぱは私の足元に落ちる。
私は思わず葉っぱを踏んづけた。


   

……忘れられたらいいのに。

別に彼女でも、特別な関係だった訳じゃない。



だけど、……。
命くんと過ごしたあの時間がまだ胸に熱さを持って残ってる。


忘れられない。
忘れたくない。




気がつけば色々な感情が私の頭を入り乱れていた。
その場に座り込む。






「……やっぱ好きだよ……。」





また一粒、私が涙を流したことは誰も知らないコト。