「ならいいよ。綾がその気なら俺にだって考えがあるし。」
あれ?なんか嫌な予感がするなー。
ふっと笑った奏は、猛獣のような目で私を見つめる。

するといきなり私を抱きしめて、よく聞いとけよ?と耳元で囁く。
その掠れたハスキーな声が色っぽくて私の顔はいとも簡単に赤く染まる。

「綾のばぁぁぁか!好きだわアホォォォ!」
唖然とした。突然の馬鹿でかい声に、何事かと運動部の皆さんが一斉にこちらを向く。
「な、な、なな何叫んでんの?!」
「え?お前への告白だよ。」
わかんねぇの?と首をかしげる。
いやいや、分かるけど!
それは本当?からかってる?
グルグルと回る感情に顔をしかめる私をお構いなしに

「ほれお姫様、私と付き合ってくれますかね?」
手を差し伸べる奏は本当に王子様で。
こんな私で良ければ、と
「もちろんですよ王子様」
差し出された手を私は強く握った。