「……リヒト君…。

 あの……お話することがあります…」


真剣な様子が伝わるような声で、

リリーは言う。


「???」


リヒトは…そんな様子を不思議に思い、

リリーを真っ直ぐ見る。


「あの…リヒト君の事について……。」


リヒトから目を逸らして言うリリー。


「俺?」


リヒトはキョトンとして、固まった。


「リヒト君…能力って今使えますか?」


リリーの話に思い出される。

そういえば…能力使ってなかった…。

「あー。あれから使ってなかったな…。

 そういえば…。」



リリーの昔話を聞いたところだと、

何かしら変わっているはずだ。


もともと普通の…

何も能力を持ち合わせていない人間が、

能力を使えるようになる。



そして…治癒能力も、

使えるようになっていたのだ。

リヒトもそうなっている可能性が高い。


「……使えますかね?」


「どうだろう…。」