―精霊の祖の恋物語― 後編





俺はリリーの腕を引っ張り、

引き寄せて抱き締めた。


「俺はお前から、離れる気はない。」


「リヒト君ッ…?」

声を震わせてリリーは俺の名前を言う。


「リリー。俺が世界で一番大切なのは

 お前なんだよ。もう、目の前から

 消えていって欲しくない。」


リリーは目を見開いた。

「……。」


「もう、寂しい顔をさせることもして

 欲しくない。リリーは笑顔でいてほしい。

 ずっと…俺の傍で。」


「でも……迷惑ッ…。」


「迷惑?別にそんな事、

 少しも思ったことが無い。


 俺はただ、リリーを守りたかったから…


 だからまた、

 俺の傍で笑顔でいてほしい。」