自分の手を見つめながら、リリーは話をする。

「この私を少しでも乗っ取れることが

 できるとなると…

 遂に…私がこの場に来て止めるように

 言われていた出来事が起こるかも…

 知れません。多分相手は……。」

険しそうな顔をするリリー。


リリーの話にリヒトは気になった言葉を呟く。

「相手…?」


ハッとしたリリーはリヒトが呟いた、

“相手”という言葉について、

何も話さなかった。

「……いえ…何でもありません。

 警戒をしなければいけないですね。」

リリーは、リヒトから顔を逸らして、

静かに緊張を含ませた声で言った。


「……リリー?」

リヒトが、リリーに声をかけると…

「リヒト君は気にしないでください。

 これは私の仕事です。本来の自分の…。」

と真剣な趣でリリーは言った。