―精霊の祖の恋物語― 後編





そうして保健室を出たリリーとリヒトは、

競技場へ向かう。

先程のことを少し話しながら…。


「それで、リリー。

 さっき乗っ取られたって言っていたが、

 もう大丈夫なのか?」


ビクッと震えたが、小さい声で答える。

「…はい。大丈夫です。」


「リリーを乗っ取るって…。」

リヒトがそう呟くと、リリーは説明を始めた。

「前にお話しましたが、私は元々、神と

 呼ばれているものでもありました。


 今もそうかも知れません…。

 ここに来たのは、頼まれたからです。」


「あぁ。…そう言っていたな。」