―精霊の祖の恋物語― 後編





「「……。」」

二人は固まる。少し時間が経つと…。


「リリー。本当に大丈夫だよな?」

話の話題を変えて、先ほどのことを

触れないようにして喋るリヒト。


リリーもコクンと頷いてリヒトに合わせた。

「はい。大丈夫ですから、競技場に戻ります。

リヒト君と試合…やるんですから。」


リリーの言葉に目を見張り、反対する。

「安静にしてたほうがいい。」


「いえ。もう大丈夫です…。行きます。」

リリーはリヒトを真っ直ぐ見て言った。


「また、倒れたりしたら…。」

やっぱり納得できないリヒトは、

「止めたほうがいい。」と言い聞かせるが…


「不穏な空気がありません。

 先程は変な感じがあったんです。

 一瞬でしたが…。でも今はありません。

 大丈夫です!」

リリーはまだ諦めない。

「でもな…。」

「早く行きますッ!私……

 試合。というのもやっぱり…

 やってみたいんです!お願いしますッ。」

リリーは頭を下げてお願いした。