「リヒト…君ッ。…ハァッ…ハァッ…。」
リリーは胸を押さえて苦しそうに、
嫌な汗を掻きながら、リヒトの名前を呼ぶ。
「喋るなッ!!」
リヒトは顔を歪ませて言う。
…それでもリリーは口を開く。
「リヒト…君ッ。
…この世界……嫌な予感がッ…ハァッ…。
何か…起こるかも…しれませんッ。」
「…何かが起こる?」
リリーの言葉にリヒトは険しい顔をして言う。
精霊の祖である彼女の話だ。
もしかしたら…なんて場合もある。
リヒトはリリーの話を静かに聞く。
「はい。…私が……このような事に…
なっているのも…その何かが起こる…
予兆かもッ…ハァハァ……しれません…。
なかなか…。直らないですね…。」
ハハ……と弱々しい笑みを浮かべるリリー。

