「それは、嬉しい言葉ではあるんですが…。」

笑顔で言うリヒトは、イラつきと戦っていた。


先生なんだから、お前がお手本やれよッ!?

てか、なんで、リリーもなんだよッ。


隣にいるリリーを見ると、

リリーは少し涙目になっていた。


「少しだけやってくれないか?

 シュテルネン君。」


周りにいる、クラスメイトや、

別のクラスの人たちもそう言ってくる。



表面上、優しいクール王子として

学園中で知られているリヒトが、

この状況を収めるためには…


「分かりました。一度だけですよ?

 じゃあ…三十分後にやらせてもらいます。

 相手の方は、別に誰でもいいです。」


リヒトが笑みを見せて言っていると…。


先ほどまで泣きそうな顔をしていた

リリーが口を挟む。

「シュテルネンさんの相手は、

 …私でもいいですか?」と……。