リヒトはアーテルから顔を逸らしながら、

嘘をつく。


「いや…

 どこかで見てたんじゃないですか。」


そうリヒトが言うと…


アーテルが「リヒト君。」と名前を呼ぶ。


リヒトは後ろを振り返ると…。

アーテルは笑みを浮かべていた。


周りの女子生徒たちや、女教師たちは、

キャーキャーと騒ぐ。


アーテルは、紳士的で優しい男性と

女性達に人気である。


女性達がうるさい悲鳴を上げている間、

リヒトはアーテルの顔を見て固まっていた。


リヒトから見ると、その笑みは

恐ろしいものに感じたからだ。


アーテルから目で

こう言われているように思える。


〝まさか、リヒトが嘘を言うとはな…

 水属性の能力は、俺は見ていないからな。

 これでも俺は上司だぞ?〟


なんか…そう言われているような

気がしてならないリヒト。