―精霊の祖の恋物語― 後編





リヒトは「ハァ」と息を吐くと、

話し始める。


「アーテル。精霊を始末した日。

 父さんたちを見送る時…

 俺を仕事に借りるから遅くなるとか、

 朝まで掛かるかもしれないとか。

 言ってなかったのか?」


「あー。少し借りるとは言ったかな。

 なんかまずいこと…あった?」


〝やっぱり…〟という顔をして、

リヒトは深く溜息をつく。


「その言葉足らずのせいで、

 俺は怒られっぱなしだったぞッ!?

 長時間、説教だったんだよッ!?」


「あー。なるほど。」

アーテルはうんうんと頷きながら言った。


かなり機嫌悪そうな顔をして言う。

「なるほどじゃねーよッ。姉貴には、

 寝てるところを叩き起こさせて、

 正座で長時間の間、説教だし…

 足が痺れたんだがッ!?」