―精霊の祖の恋物語― 後編





「おーい!リヒトくーんッ!!」

いきなり大きな叫び声が聞こえる。


その声を聞いたリヒトはと言うと…

物凄く不機嫌そうな顔をした。


そんな中でも…

まだリヒトを呼ぶ声が、競技場に響く。


「おーいッ!!リヒトくーん!!」


その声のせいで、

リヒトに向く視線が多くなる。


リリーが遠慮深く、リヒトに声を掛けた。

「あの…呼んでますよ…?

 アーテルさん…。」


そう…そのさっきからリヒトの名前を

大声量で呼んでいる人物は……

アーテルである。


という訳で…リヒトはもちろん…。


「今回は…俺。

 マジで怒ってるから…。無理。」

と超不機嫌そうに、鬼の形相で言った。


「あぁ…そうですね…。」

リリーは苦笑いしながら、以前…

精霊の始末をした日の事を思い出していた。