―精霊の祖の恋物語― 後編





リリーにとっては少し強く感じたが、

そのことをリリーは言わなかった。

リヒトがかなり弱っていたから…。


「リリー。…俺は、倒すべきだったん

 だろうか?あの精霊を…。」

リリーの首元に顔を埋めて聞くリヒト。


リリーの頬にはリヒトのサラサラした

綺麗な金髪が触れる。

「私は…リヒト君がこの世界を

 守りたいのなら、この力を使って、

 暴れる精霊を始末。

 倒すべきだと思います。」


「そうか…。」

静かにリヒトがそう言った。

「そうです。」

ニッコリと微笑んでリリーは言う。


「でも俺にとって守りたいもの第一は、

 リリーだけど。」

先程まで弱っていたはずのリヒトは

すっかりいつもの調子に戻る。


「…へッ!?」

不意打ちでそんなことを言われたリリーは

顔を赤面させて口をパクパクさせる。