リヒトに聞こえた精霊の声はこうだった。 “私ッ、好きな人間がいるのッ! だからお願い。 その人に1回でも会わせて。 そしたら、別に私を始末しても構わない。 だからッ。お願いッ!” その言葉がさっきから、 リヒトの頭から離れない。 「リヒト君…。」 リリーは呟きながら、 しゃがんでリヒトを抱きしめた。 リヒトはリリーの背中に腕を回して 強く抱き返した。