―精霊の祖の恋物語― 後編





リヒトに聞こえた精霊の声はこうだった。


“私ッ、好きな人間がいるのッ!

だからお願い。

その人に1回でも会わせて。


そしたら、別に私を始末しても構わない。

だからッ。お願いッ!”

その言葉がさっきから、

リヒトの頭から離れない。


「リヒト君…。」

リリーは呟きながら、

しゃがんでリヒトを抱きしめた。


リヒトはリリーの背中に腕を回して

強く抱き返した。