「リリー。
今…泣くべきなんじゃないのか?」
リリーの腕を強く掴んで、
リヒトは静かにそう言った。
「…何を言っておるのじゃ?」
リリーは声を震わせて言いながら、
振り返ってリヒトを見る。
「じゃあ、なんでリリー。
さっきから、精霊の祖のままでいるんだ?」
「ッ……気分じゃよ…。」
2人の間に緊張が走る。
「本当は、泣くのを我慢するため
じゃないのか?」
言い終わると、リヒトは辛そうな顔をした。
「違う…。」
リリーは俯いてボソッと言う。
「言ってくれないと…
俺、どうすることも出来ないぞ?」
リヒトはリリーの腕を引っ張って、
多少、強引にだが…抱き寄せた。
「ッ……言ってどうするんじゃ?」
リリーはビクッとさせるが、
リヒトの背中に腕をまわす。

