―精霊の祖の恋物語― 後編





「リリー。

 今…泣くべきなんじゃないのか?」

リリーの腕を強く掴んで、

リヒトは静かにそう言った。


「…何を言っておるのじゃ?」

リリーは声を震わせて言いながら、

振り返ってリヒトを見る。


「じゃあ、なんでリリー。

 さっきから、精霊の祖のままでいるんだ?」

「ッ……気分じゃよ…。」

2人の間に緊張が走る。


「本当は、泣くのを我慢するため

 じゃないのか?」

言い終わると、リヒトは辛そうな顔をした。


「違う…。」

リリーは俯いてボソッと言う。


「言ってくれないと…

 俺、どうすることも出来ないぞ?」


リヒトはリリーの腕を引っ張って、

多少、強引にだが…抱き寄せた。


「ッ……言ってどうするんじゃ?」

リリーはビクッとさせるが、

リヒトの背中に腕をまわす。