―精霊の祖の恋物語― 後編





確かに後ろに人の気配がしていたが、

まさか…あの睨み合った隊長だとは

思いもしなかったリヒトは…。


「あの、隊長ってさっきの人ですよね?」

と聞いてみる。


「えぇ。テラ隊長よ?」


テラ隊長か…。って……

名前…聞いてなかったか?と、

リヒトは、今になって…ふと思う。


「そういえば、名前聞いてませんでしたね。」


「今、気づいたの?ふふふっ。

 ほんと君、面白いわね。

 私はSDM機関。副隊長。

 グラス・ヴァッサー・フロスト よ。

 よろしくね。それと…。

 あそこにいる…面倒くさい人。


 ……隊長。もういるのは分かってますから…

 出てきてください。」


物陰にいる人はビクッと肩を震わせる。


すると……

渋々出てきて、こちらに向かって歩いてきた。