―精霊の祖の恋物語― 後編





隣に立っていた女の人が大きな声で言った。

「あの、精霊の祖なんですか!?

 この少女は!?」


リリーはビクッと震えて、

リヒトの服の布を掴む。


リヒトはリリーの方を向き、

頭を撫でながら「大丈夫だ。」と

優しく言うと、また能力者達の方を向く。


「…それが、なんですか?」


「君はなんで精霊の祖と一緒にいるんだッ。」

隊長が憎いという感情を露わにして言った。


「あり得ないといった口振りですね。」

そんな顔にリヒトは顔を歪めて言う。


「当たり前だろうッ。

 誰がそんな…憎しみの塊のような奴と

 一緒にいたいなんて思うんだッ!」


隊長と呼ばれる男の人は、

リリーを鋭く睨んで大声で怒鳴った。