―精霊の祖の恋物語― 後編





精霊を無事倒したリヒトは何故か…

悲しい目でリリーを見て、

リリーの名前を呟いた。

「リリー…。」


その理由が分かるリリーはリヒトに近づき、

…抱きしめる。

「…リヒト君。」


リヒトはリリーを抱き返した。

「リリー……聞こえてきたんだ…。」



リヒトには…聞こえてきた。


精霊を始末する直前……


“私は…悪くないッ!!

誰かに操られているのッ!!

だからやめてッ!!私を殺さないでッ!!”

という、本来の精霊の心の叫び、悲鳴が…。


リリーはずっと前から

聞き続けている声なんだろう。