リヒトは席を立つと、

リリーの方へと歩いていく。


皆、興味津々な様子で見ている。



リヒトはリリーの隣に行くと肩を抱いて、


耳元で「大丈夫だ。」と呟き、


「ちょっと、保健室に行ってきます。

 彼女体調悪そうなので。」


と担任教師に言って、教室を出て行く。


残ったクラスメイトは、

何ッ!?何ッ!?と騒ぎだして

教師が大変だったらしい。



一方、教室を出ていったリヒトとリリーは、

少し歩くと、リヒトが立ち止まる。

一緒にリリーも足を止めた。


リヒトは振り返ってリリーを見る。


リリーは涙を流していた。


「どうしたんだ?」


「ごめんなさい。

 私はまたッリヒト君に…迷惑をッ。」


リリーは俯いて謝り始めたので、

謝るリリーを止める。

「別に謝ることはないだろ?

 それに、気にしないでくれ。

 
 まさか…

 リリーが、学校に来るとは

 思わなかったな。

 驚いたけど嬉しいぞ?俺は。」


言い終えた後、

リヒトはリリーに笑みを見せる。