―精霊の祖の恋物語― 後編





「今も精霊達はいろんな場所で数人程、

 暴れている。」

アーテルは、少し…言い難そうだ。


恐る恐る…先程浮かんだことを聞いてみる。

「だから…それを、倒してくれと?」


アーテルはすごく満面の笑みで

リヒトを見た。


……正解だったらしい。


「そうなんだ。お願いだ。

 今の私達じゃ、

 被害を最小限に抑えることしか出来ない。

 それに、

 能力者の怪我人が増えているんだ。」


かなり必死に話しているアーテルの様子で

状況が芳しくないということが、

伝わってくる…。


「はぁ。…分かりました。」



リヒトは、リリーが精霊を駆除する度に、

苦しい思いをすることを知っているため、

こう最後に言葉を付け足した。

「でも……

 リリーを参加させるのは無理です。」


リヒトが気遣ってくれたということを

理解しつつも、リリーはこう言った。

「いえッ。私も行きますッ。」